もののべ

写真は先日訪れた鏡作坐天照御魂神社の拝殿に安置されているご神鏡。

たまたま祭典の前日にあたり、宮司さんと業者さんがご神鏡を磨いていらっしゃる所で、思いがけず許可をいただき、写真に撮ることができました。

その際、お伺いしたお話。

写真の銅鏡は白銅製で、福岡県糸島の遺跡で発掘されたもののレプリカです。

このレプリカ製作にあたって、ある神社の崇敬者であった社長さんが尽力されたそうなのですが、一筋縄ではいかなかったそうな。

白銅というのは銅と錫の合金ですが、現代の技術でも復元が困難だったそうです。

さらに白銅は青銅より硬く、磨くのも大変。

弥生時代に作られた銅鏡の複製が現代でも難しいなんて、ちょっと驚きました。

それでその社長さん、崇敬する神社の宮司さんに相談したそうです。

宮司さんは、奈良に鏡の神様がいらっしゃるので、そこにお参りしてみては、と勧められたそうな。

それでその社長さん、鏡作坐天照御魂神社に参拝し、御祈祷をお願いしました。

どうか御神鏡を作らせてください、と。

その結果、上の写真のような立派なレプリカが完成したそうです。

その時、五つ同じものを作ったそうです。

通常、五つ作って完成するのは一つか二つなのだそうなのですが、その時はなんと五つとも成功し、立派なご神鏡が完成しました。

社長さんとレプリカ作成に関係された皆様は、鏡作りの神様のお力を強く感じられたそうです。

完成したレプリカのご神鏡は、丹後の元伊勢籠神社、鏡作坐天照御魂神社、そして九州の博物館に寄贈されたそうです。

このお話をお聞きしている最中、ゾクゾクと鳥肌が立ってきました。

何しろまさにその鏡作りの神様の御前で、お話をお聞きしているのですから。

それから驚いたのは、現代の鏡と遜色のない映り具合です。

本当に綺麗に姿が映ります。

これは青銅製の鏡も同様で、新品の鏡はまさしく鏡で、よく外の世界を映し出すんだそうです。

社伝によると、ここ鏡作の地で作られたご神鏡が今も宮中で祀られているそうです。

それで私が今関心を持って調べているのが、「玉」です。

三種の神器、劔・鏡・玉の一つですね。

石上神宮は劔の神様。

鏡作坐天照御魂神社は鏡。

残るは「玉」。

中でもヒスイの玉(勾玉)が最上の玉らしく、三種の神器の八尺瓊勾玉の「瓊」は、ヒスイの古語だそうです。

ヒスイにもいろいろありますが、国産のヒスイはその硬度からいっても最高級品だそうです。

ダイアモンドは、最高の硬度で有名ですが、案外脆くて割れてしまうことがあるそうです。

ヒスイは、細かな粒子が高圧で圧縮されて形成されているので粘度があり、ダイアモンドより丈夫な鉱石だそうです。

ライフルの銃弾でさえ跳ね返してしまうほど。

国産のヒスイといえば、新潟の糸魚川。

越の国ですね。

スサノオがコシのヤマタノオロチを退治して手に入れたのが、越の国の姫である稲田姫。

櫛稲田姫はコシの稲田姫の意。

そしてスサノオの息子である大歳の諡が、天照国照彦天火明櫛玉饒速日命。

櫛玉、つまりコシの玉の支配権を表す名前を持っているわけです。

饒速日命は物部の祖神とされています。

物部にはモノの製造、管理という意味があります。

同時に神道と軍事も担当していました。

ですから劔も弓矢も鏡も玉も作る部族だったわけです。

もののべ一族のモノづくりの技と心が、現代日本にも滔々と受け継がれているのは、奇跡的なことだと感嘆します。

我が国のモノに対するこだわりは、古代も今も変わらないですね。

これは本当に好きでなくては続かないこと。

これも民族のブリーフシステムなのでしょうね。

これからしばらくは「玉」に関する研究が続きそうです。

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